【自宅で細胞培養してみた・細胞採取&凍結保存編】

※今回の記事は動物の解剖シーンが含まれています。苦手な方はブラウザバックを推奨します。

みなさんこんにちは。
今回は細胞の入手と保存についてお話していきたいと思います。細胞の入手先は様々で、魚介類なら容易に解剖して手に入れられます。今回実験に使う細胞は\"鶏\"です。高級スーパーなとで6個入り300円ほどの有精卵を孵卵器で温めてて胚を発生させます。これを解剖して臓器や筋肉から細胞を採取します。

準備するもの
・クリーンベンチ
・インキュベーター
・マイクロピペット
・シャーレ
・ボウル
・ピンセット2本
・PBS(リン酸緩衝液)
・0.1%コラゲナーゼ溶液
・滅菌済みスピッツ管
・孵卵器
・有精卵
・10%DMSO入りD-MEM
・ドライアイス
・イソプロパノール
・精製水

それでは早速始めていきましょう。

① 孵卵器で有精卵を12日間温めます。12日目を超えると毛が生え出してヒヨコらしさが表れ、精神衛生上よろしくない。今回はスケジュールが合わずに2日ほど温めすぎてしまい、毛が生えてきてしまいましたが、これはこれで特に問題は無いです。ただ、22日目を超えると孵卵器からピヨピヨします。


② 必要な器具類を入れてUV滅菌灯を点灯し、クリーンベンチ内部を滅菌する。


③ アルコール噴霧した有精卵をクリーンベンチ内で割り、胚をPBS入りシャーレに取り出します。必要の無い卵黄や卵白、殻はボウルに入れておきましょう。このとき胚がピクピク動いて躊躇いが生まれるかもしれませんが尊い犠牲です。感謝の気持ちを持って実験しましょう。


④ ピンセットで頭部を切断して安楽死させます。その後両脚を引っ張って腹部が上に向くようにします。卵黄と繋がっていた穴からピンセットを入れて腹部から胸部にかけて裂開します。
   
⑤ 腹部にベージュ色の袋があります。これが胃です。胃を摘出したのち肝臓(褐色組織)を摘出します。肝臓には胆嚢が付属しています。破らないよう慎重に分離しましょう。
 
⑥ 胸部に分厚い筋肉があります。この下にツルっとした赤黒いドクドク動く臓器があります。心臓です。大動脈の方からピンセットを入れ切断して摘出します。分離後もしばらくは脈を打ちます。
 
⑦ 太腿の付け根にピンセットを挟み込み、切断します。片方のピンセットで大腿骨を挟み、もう片方のピンセットで皮を剥ぎます。ボサボサと繊維状の組織が露わになります。筋肉です。骨から削ぎ落として採取します。
 
⑧ 摘出したそれぞれの組織をPBSで洗浄します。上が心臓、左が筋肉、右が肝臓です。

⑨ シャーレ上で、ピンセットで組織を細かくミンスします。これをスピッツ管に移して0.1%コラゲナーゼ溶液を加えて37度40~60分インキュベートします。
   
⑩ インキュベート後、ピペッティングで組織をほぐしたら細胞が分散した上清をスポイトで採取します。上清を遠心機にかけて分散した細胞を沈降させます。

⑪ 遠心沈降させた細胞にPBSを加えて懸濁洗浄します。これを2回行います。
 

⑫ 洗浄したあとの細胞に10%DMSOのD-MEMを加えてピペッティングで分散させ、ミクロチューブに移し、ドライアイスを加えたイソプロパノール(温度約-70~80℃)で急速凍結します。細胞保護剤のDMSO添加下で超低温急速凍結することで水分の結晶化に伴う細胞の破壊を防ぐことができます。このあとは通常の冷凍庫で保存できます。


以上が鶏からの細胞採取&凍結方法です。
これを使って今後実験を行なっていきたいと思います。

えざお

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僕も所属しているShojinmeat Projectは自宅で作るDIY細胞培養肉の研究開発や細胞農業のフリー素材作成、同人誌の頒布などを行なってるクラファン同人サークルです。
今注目されている「フードテック(Food Tech)」分野で培養肉の社会的受け入れや宗教的観点からの評価、食品安全など様々な問題を追求し、将来的には一人一人が各家庭で培養肉を作るSFな未来を目指して活動しています。

ご興味のある方がいらっしゃれば毎週火曜日、渋谷のFab Cafeにて定期ミーティングを行なっているので是非いらしてください。

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