【自宅で細胞培養してみた】

みなさんこんにちは。
バイオ部で初めて記事を書きます、えざおです。
普段はアングラ化学部の方で実験記事を書いてるんですけど実はバイオテクノロジーも案外いけるクチだったりします(経験極浅)

今回僕が所属してるShojinmeat Projectという培養肉を主に研究しているサークル活動の一環として\"ある細胞\"を自宅で培養することになりました。「子宮頸がん細胞」です。

正確には「HeLa(ヒーラ)細胞」と呼ばれる、初めて確立されたヒト由来の細胞株で1951年に30代黒人女性の病理切片から採取され、現在まで継代培養され続けています。

さて、自宅で細胞(しかもがん細胞)培養できるの?とお思いの方も多いと思いますが一応可能だったりします。というわけで実際にやってみました。

準備するもの
・クリーンベンチ(UV付き)
・インキュベーター
・卓上遠心機
・マイクロピペット
・ディスポーザブルスポイト
・50mlコニカルチューブ
・Thermo 培養ディッシュ
・電子滅菌済スピッツ管
・低温調理器具(無くても可)
・寸胴鍋
・D-MEM培養液
・FBS(ウシ胎児血清)
・三種混合抗生物質
・重曹
・クエン酸
・子宮頸がん細胞(凍結)

それでは早速始めていきましょう。
以下の操作は特にことわりがない限りクリーンベンチ内で無菌操作を行います。

① クリーンベンチのファンを起動して必要な器具類をクリーンベンチ内に入れ、UVランプを点灯して40分間クリーンベンチ内にUVを照射する。


② スピッツ管に培養液を適量入れておく。


③ 凍結HeLa細胞を37度の湯浴に2分間浸けて緩やかに解凍し、解凍後素早く②に懸濁する。
  

④ 細胞を懸濁したスピッツ管を遠心機にセットし、1000rpmほどで遠心沈降させる。
 

⑤ 上清をスポイトで取り除き、再度培養液に懸濁して遠心機で遠心沈降させる。

⑥ 再度上清を取り除き、少量の培養液に懸濁する。以上の過程でセルバンカー(細胞凍結保護剤)が極力薄まる。

⑦ 50mlコニカルチューブにFBSを5000μL、三種混合抗生物質を1000μL入れ、D-MEMで全量を50mlにして転倒混和する。
 

⑧ ⑥細胞懸濁液をよくピペッティングしてディッシュに播種する。
 

⑨ 傍から⑦で調整済みの培養液を静かに加えていく。


⑩ インキュベーターを37度にセットし、中にバットと計算によって求めた必要量の重曹とクエン酸と水を入れる。インキュベーター庫内の二酸化炭素濃度が5%になるようにする。


⑪ 培養開始。開始1日後に最初の培地交換を行う。

◎培地交換
培地交換は培養液をディスポスポイトで取り除き、PBSでリンス後にPBSも取り除いて新しい培養液を加えて培養を再開します。

以上が細胞培養の手順となります。
操作に慣れていないのでコンタミ(細菌やカビによる汚染)が起こる可能性が大いにありますが今後、倒立型顕微鏡による観察を行いたいと思います。

●追記
培養開始から18日目にはディッシュ底面を覆い尽くすほどに繁殖していました。


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僕も所属しているShojinmeat Projectは自宅で作るDIY細胞培養肉の研究開発や細胞農業のフリー素材作成、同人誌の頒布などを行なってるクラファン同人サークルです。
今注目されている「フードテック(Food Tech)」分野で培養肉の社会的受け入れや宗教的観点からの評価、食品安全など様々な問題を追求し、将来的には一人一人が各家庭で培養肉を作るSFな未来を目指して活動しています。

ご興味のある方がいらっしゃれば毎週火曜日、渋谷のFab Cafeにて定期ミーティングを行なっているので是非いらしてください。

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