きのこの乾燥標本を作ろう

きのこはいいぞ?!!!!
きのこ、私の好きな菌類です。製作所の方で時々更新させて頂いていますが擬人化して愛でるほどには好きです。
好きなら飾ればいいじゃない、ということで時々気に入った子はこんな具合で乾燥標本にしています。

標本の制作方法にも色々ありますが、学術的に利用価値が最も高いのは乾燥標本です。
「じゃあどうやって乾燥させてるの?」ということで、昨年秋に北海道から送って頂いたベニテングタケを標本化させた際の方法を書いていきますね ※あくまで自己流です

こちら届いた新鮮なベニテンちゃん。

さすがに最初から自然乾燥だと日数がかかり過ぎてしまう大きさなので、ここで文明の力を借ります。

業務用乾燥機。
実は私あさの、椎茸農家の孫なのです。「この大きさはな…」と思ってこの時は祖父母に乾燥機を貸して貰いましたが、実際問題燃料代がバカにならない。
なので大まかな水分を飛ばしたい時、普段は低温のオーブンで水分を飛ばしています。焦がさないように気をつけてね。
おそらく家庭でやる際に一番おすすめなのはフード・ディバイドレーター(燻製やドライフルーツを作るためのもの)だと思われます。電子レンジみたいに焦がす心配も無さそうだし…欲しい…(私情)

ある程度水分が飛んだら、天日干しで自然乾燥させます。吊るすタイプの干しかごがおすすめ。風通しの良い場所に吊るしてね。
「小型のきのこなら最初から天日干しでもいいんじゃない?」的なことを言われそうですが、万が一中に虫がいた場合乾燥している間に食べられていて虫食い標本に…なんてことも有り得ます。
なのでここで電子レンジ。軽ーく熱を加えてあげれば虫は死滅するので忘れないようにしましょう。
そういえばきのこって変形しやすいいきものなんです。なので終始一貫して気をつけて欲しいのが、接地面が長時間同じ状態になってる事による変形。
今回のベニテングタケの乾燥がその悪い例です。標本として見栄えが悪くなるので時々接地面を変えてあげるなど工夫することがポイント。ヒラタケやキクラゲのような形の子はそのままで大丈夫なのですが、ベニテングタケのようないかにもきのこ!って形状の子(特にハラタケ科)は注意してあげてください。

1週間ほど乾燥するのを待ちます。


じゃーん完成!
ステッカーが貼ってあるのは一度データが吹っ飛んだのでTwitterから画像を引っ張ってきたためです。ちなみに左は一昨年送って貰って作った標本。
画像を見れば分かるように柄が乾燥前と比べて90度ほど曲がっていますね。接地面がずっと同じだとそのまま乾燥してしまい、“こう”なるので注意しましょう。

保管について
適当な容器に入れて、直射日光を避け、湿気を取り込まないよう保管します。湿度や温度が一定だとさらに望ましい。
種名と採取した日や場所を書いたラベルも忘れずに。
インテリア、としての扱いなら左の標本のようにちょっとしたお飾りを入れるのも個人的にはおすすめです。

おまけ 実食
※真似しないでね!
ベニテングタケにはイボテン酸と呼ばれる有毒成分でありながらグルタミン酸の10倍の旨味を持つ成分が含まれています。
(ベニテングタケについては製作所の方で擬人化キャラと共に解説しているのでよければそちらをご参照ください:ベニテングタケ )

せっかく2本送られてきたので乾燥したうちの小さい1本を実食してみました。実は乾燥し終わった時点で“旨味”の香りがやばくて食欲をそそられてたんですよね。毒キノコなのに。
軽く水でふやかして細かくスライスしていざ実食……しようと思い水につけると瞬く間に水の色が茶色く変色していくのです。香りもすごい。要はとんでもない量の出汁が出ていたんです、こっちの出汁はちょっと生臭くて味見を控えました、次は味見します…

出汁に驚きながらも実食。ちょうど小さい付箋とかリトマス試験紙くらいの大きさだった気がします、それなのに舌に載せた瞬間ぶわっと脳天まで届くような強烈な旨味…!きのこと魚介の中間くらいの味をぎゅっっっっと凝縮した感じの味でした。きのこなのに魚介…?って少し脳がバグりましたね
噛めば噛むほどスルメのように染み出す旨味…これ毒なのおかしいだろ…飲み込む時にも喉で感じる強烈な旨味。とにかく旨味、旨味、旨味、って感じでした(食レポが下手)
さすがに一気に1本分食べると中毒を起こす可能性があるので、ジップロックに入れてちまちま食べてました。美味しかったです。
そりゃ食べる地域もあるし鹿などの動物も好んで食べるだろうなあ…

※この記事に毒キノコ、および色毒不明なキノコを食べることを推奨する意図はありません※

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