酸でデンプンを加水分解してみた。

みなさんこんにちは。応化くまくです。
今回はデンプンの加水分解をテーマに実験しようと思います。
でんぷんは植物の種子や地下茎(ジャガイモなど)に含まれる糖の一種です。化学の面から詳しく言うと、分子式(C₆H₁₂O₆)nで表される多糖で、以下の構造をしています。


このようにα-グルコースが縮合重合した分子構造をしており、直鎖状のものはアミロース、枝分かれしているものはアミロペクチンといいます。デンプンはこの二つの混合物です。なおどちらもヒドロキシ基の水素結合によりらせん構造をしています。
そして今回重要になってくるのは多糖類には加水分解されるという性質があることです。今回は希硫酸を用いて加水分解を行います。デンプンが加水分解されるとグルコース(単糖)まで分解されます。(グリコシド結合の部分に水が付加してヒドロキシ基になる。)中間体としてデキストリンやマルトースが生成しますがそこら辺は割愛。そして前回の記事でも紹介したとおり、グルコースには還元性があります。したがってベネジクト液を用いればグルコースがきちんと生成したかを確認することができます。またヨウ素液(うがい薬で代用)を用いてデンプンの存在も検出できます。デンプンが存在すると主に紫青色を呈します。
したがって、下の図のようにすれば希硫酸によってデンプンが分解されたか対照実験によって確認できます。


それでは実験していきましょう!

使用試薬

・10%希硫酸
・片栗粉
・うがい薬(イ○ジン)
・ベネジクト液
・重曹
・純水

使用器具

・試験管
・アルコールランプ
・試験管ばさみ

実験手順

① 水6mLとデンプン少量を4本の試験管にそれぞれ加えます。
② 液が半透明になるまで煮沸します。


③ 4本の試験管のうち2本に希硫酸を加えます。(Aとする。)
④ 残りの2本には何も加えず(Bとする。)、Aを両方とも加熱します。
⑤ A、B一本ずつにうがい薬を加えます。
⑥ 残りのAに重曹を気泡が発生しなくなるまで加え硫酸を中和します。


⑦ 残りのA、Bにベネジクト液を加え加熱します。
結果は以下の表の通りになりました。
  デンプン+dil.H₂SO₄(A) デンプンのみ(B)
ヨウ素液
変化なし 濃青色
ベネジクト液
赤褐色沈殿

変化なし

上の表から分かる通り、Bではデンプンのみが検出されたのに対し、Aではグルコースと考えられる還元性をもつ糖のみ検出されました。よって希硫酸によってデンプンが分解され還元性をもつ糖へと変わることが分かりました。

以上でこの実験は終了です。読んでくださりありがとうございました!

余談
本当はグルコースが生成したことを確認するために偏光板を使って比旋光度の話もしたかったのですが上手くいきませんでした。グルコースの異性体の話もしたかったのですがそこも割愛しました。興味ある人は調べてみてください。

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