ベネジクト液を作ってみた

みなさんこんにちは。応化くまくです。

今回はベネジクト液を作ります。ベネジクト液は中学理科の唾液のはたらきを勉強するときに登場する試薬です。みなさんも聞き覚えがあるのではないでしょうか。
ベネジクト液を還元性のある糖の存在下で加熱すると赤褐色沈殿を生じます。それによりデンプンが唾液などによって分解されてできた糖を検出できます。なお今回は正しく調製出来たかのチェックにブドウ糖(グルコース)を用います。
その原理ですが、大まかには還元性のある糖(=分子内にアルデヒド基-CHOをもつ)により、銅イオンが還元されることで起こります。例えばα-グルコースは以下の写真の様に水溶液中では環状と直鎖状の平衡状態になっています。(本当はもう一種類β-グルコースがありますがここでは省略しています。)写真中水色で囲まれているのがアルデヒド基です。



そして酸化されたアルデヒド基はカルボキシ基-COOHになります。


反応式:CH₃(CHOH)CHO+2Cu²⁺+4OH⁻→CH₃(CHOH)COOH+Cu₂O↓+2H₂O
上式からわかるように、この>反応にはOH⁻が必要です。そのため炭酸ナトリウムを加えることで塩基性にします。しかし銅イオンは水酸化物イオンがあると水酸化銅Cu(OH)₂として沈殿してしまします。そこでクエン酸イオンを添加することでCu²⁺は安定なキレート錯イオンとなり、沈殿しなくなります。ちなみによく似たものとしてフェーリング液というのがありますが、ベネジクト液はフェーリング液に比べ長期保存が可能であり、糖以外の物質(尿素など)に反応しないという点で異なっています。(しかしフェーリング液はより反応が鋭敏)

長くなりましたが原理はこんな感じです。

それでは作っていきましょう!

使用試薬

・硫酸銅五水和物
・クエン酸
・炭酸水素ナトリウム(重曹)
・ブドウ糖入りのお菓子

使用器具

・ビーカー
・試験管
・アルコールランプ
・試験管ばさみ
・マグネチックスターラー
・電子天秤

操作

※手袋、保護メガネなど身を守るものを必ず着用すること。

◆クエン酸ナトリウムの合成
① 水100gにクエン酸9.6gと炭酸水素ナトリウム12.6gを溶かしかき混ぜます。中和反応が起こり二酸化炭素が発生します。
式:C₆H₇O₈+3NaHCO₃+NaC₆H₄O₈+3CO₂↑+3H₂O
② 加熱濃縮した後冷却して再結晶したクエン酸ナトリウムを回収します。純度を気にしない場合は蒸発乾固でもかまいません。

◆炭酸ナトリウムの合成(炭酸水素ナトリウムの熱分解)
① 炭酸水素ナトリウムを5.55g試験管にとります。
② アルコールランプで水滴の発生がなくなるまで加熱します。式:2NaHCO₃→Na₂CO₃+CO₂+H₂O

◆ベネジクト液の調整
① 水25.00gにクエン酸ナトリウム5.19gと炭酸ナトリウム3.00gを完全に溶かします。
② 水4.50gに硫酸銅五水和物0.52gを溶かします。
③ ①の液に②の液を混ぜながら加えます。(画質悪いのは勘弁)

以上で調製は完了です。

では実際にグルコースを加え、きちんと調製できているかを確かめましょう。
今回はこのラムネを使用します。


ハンマーで砕き粉末状にしたラムネを加え加熱すると、、、

 
加熱前→加熱後
この通り!!!褐色の酸化銅(Ⅰ)の沈殿が出来ました!(オレンジジュースみたいな色)
残りのベネジクト液は適当な容器に入れて保存しましょう。



以上で今回の実験は終了とします。次回はこのベネジクト液を用いた実験を紹介しようと思います。読んでくださりありがとうございました!

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