【第46.5回おうちラボで実験してみた】クリスマスにプレゼントをくれなかったサンタクロースに復讐してみた。

〈実験〉

みなさんこんにちは。
この記事を書いてるのは2021年12月26日です。そうクリスマスの1日後。
みなさんのところにはサンタさんは来ましたか?プレゼントは届きましたか?
僕のところには来ませんでした。この1年間良い子にしてたはずなのに。大人のところには来ないといいますが、僕はまだ19歳の立派な子供です。19歳児です。なぜ来なかったんでしょうか。あのジジイ、ちょっと世間からチヤホヤされてるからって調子に乗ってプレゼント配りが適当になってるんでしょうか。
許せません。許せない。ええ、断じて。
そうだ、復讐してやりましょう。化学的に。
ということでまずはサンタさんを用意しました。

こちらのサンタさん、ドンキホーテで1800円のホールケーキの上に居たところを拉致してきました。ケーキは美味しかったです。
そしてもう一つ、こちらを用意しました。
デデドン!

ピラニア溶液です。正体は濃硫酸と30%過酸化水素水が体積比3:1で混合された液体。とてつもない酸化力を持っていて有機物をたちまち消し炭にしてしまいます。そもそも工業的に有機物残渣を精密に除去するために用いられている洗浄液です。威力は半端ないです。獲物を骨まで喰らい尽くすかの如く、ピラニアという名は体を表します。王水よりこっちの方が全然怖いです。
そして調製方法が独特。通常、濃硫酸に水などを加えて希釈する際は“水に濃硫酸”を入れます。これは常識。逆に“濃硫酸に水”を加えると膨大な溶解熱により即座に希硫酸が沸騰して吹きこぼれて飛び散り、あちこちが硫酸で汚染されてしまいます。化学インシデントとしては有名な話です。さて、一方ピラニア溶液は“濃硫酸に過酸化水素水”を加えます。過酸化水素水たって30%水溶液ですから70%は水です。それを濃硫酸に入れるとか死ぬだろ、って感じですが逆に加える順番を入れ替えると爆発する可能性があるらしいです。
今回はそんなピラニア溶液をビビりながら調製しました。濃硫酸45mLに少しずつ30%過酸化水素水15mLを加えて撹拌します。このとき溶解熱が凄まじく出てビーカーの外壁がアチアチになります。氷浴か何かで冷やしておきましょう。
さて、復讐の時間です。

拝啓サンタクロースさんへ。
よくもこの1年間良い子として過ごしてきた僕の努力を蹂躙してくれましたね。あなたが来るのを心待ちにして珍しく早寝までしました。侵入しやすいように窓の鍵は開けておいたしミルクとビスケットも用意しました。なのにあなたは来なかった。どうしてですか?
僕の希望を、期待を弄んで楽しかったですか?僕は大変ショックを受けました。傷付きました。今度は僕の番です。
えざおより。

サンタクロースは意外にも有機物です。あの赤い鼻の相棒も、です。
ピラニア溶液を使うにはピッタリ。
クリスマスプレゼントを届けに来てくれなかった、この恨み晴らさでおくべきか。
Merry Christmas and Go to Hell, Mr. Santa Claus.
いざ、ぼちゃん!


表面の塗装がみるみる溶けていきますね。赤い色の頬や服が赤黒く変色したのちぬらぬらと溶け消えていきます。


漬け始めてから数秒で泡が出始めて赤い服が無くなって素っ裸になってしまいました。いい気味。


そして数十秒後、モコモコと周囲が泡立って黄ばみ、茶色味がかってきました。


さらに数分漬け続け、引き上げてみるともう表面は溶けて顔面の面影はありません。


これが本当の「酸タクロース」とでも言うのでしょうか。正直これが言いたかったがためにこの実験をやってます。ケーキ食べ終わったあとに残されたサンタ人形を見てこのネタを思いつきました。「酸タクロース」良いじゃないですか、12月下旬の寒さをさらに加速させます。
さてさて、しかしながらピラニア溶液といえどすぐにドロドロに溶かして消し炭にするわけではないみたいですね。サンタのプラスチックの耐久性が高かったのでしょうか。もう数十分漬け続ければ、あるいは加熱すれば原型が無くなっていたかもしれません。今回は危険なのでやりませんでした。まあ気晴らしはこの程度で十分でしょう。プレゼントをくれなきゃピラニア溶液に漬けられて痛い目に遭うことを彼もしっかりと理解したはずです。
合言葉はPiranha or Present.
来年は宜しく頼みますよ。同じ目に遭いたくなければね。
それでは次回の実験までさよなラジカル。

えざお

※実験に使用したピラニア溶液は多量の水に入れて希釈したのち、慎重に重曹で中和処理を行い廃液としました。また、実験者は白衣、保護眼鏡、手袋を着用し、ドラフトチャンバー内で作業しています。
危険ですので真似しないでください。

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