【第42回おうちラボで実験してみた】劇物のヨウ素を作ってみた。

〈実験〉無機化学

みなさんこんにちは。
今回は前回の臭素に引き続きハロゲン合成シリーズとしてヨウ素を作っていきたいと思います。

●ヨウ素について
ヨウ素はハロゲン元素の1つで酸化力は塩素や臭素に劣ります。ヨウ素の身近な使用例として代表的なのがヨードチンチやうがい薬。ヨウ素は殺菌力に優れているためこのような消毒剤に利用されます。さて、みなさん日本の千葉県がヨウ素の世界シェア第2位であることはご存知でしょうか。千葉県には巨大なガス田が存在し、そこに含まれるかん水に大量のヨウ素が埋蔵されているのです。千葉大学でもヨウ素が名産ということもあり有機研究室ではヨウ素を使った研究が盛んに行われています。

●合成について
ヨウ素は比較的穏やかな酸化剤なのでそれより強い酸化剤をぶち込めば簡単に遊離します。今回は酸化剤にペルオキソ二硫酸アンモニウム、ヨウ化物イオン源にヨウ化カリウムを用いたいと思います。反応式は以下です。
(NH₄)S₂O₈+2KI→(NH₄)₂SO₄+K₂SO₄+I₂

●実験
※注意
ヨウ素は皮膚粘膜刺激性・腐食性を有します。いずれの試薬も薬傷、失明の危険性があり、重篤な事故につながる恐れがあります。安易な真似は控えてください。実験者は白衣、保護眼鏡、手袋を着用し、必要に応じて局所排気設備を使用しています。

◆材料◆
・ヨウ化カリウム
・ペルオキソ二硫酸アンモニウム

◆器具・装置◆
・適当容量ビーカー
・丸底フラスコ
・氷浴
・ホットプレート
・ドラフトチャンバー

① ペルオキソ二硫酸アンモニウム70gを水200mlに溶かす。


② ヨウ化カリウム100gを水100mlに溶かす。


③ 氷浴で冷却しながらペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液にヨウ化カリウム水溶液を加える。
   

④ 沈殿物を吸引ろ過で回収する。


⑤ 生成したヨウ素をビーカーに入れて加熱し、昇華精製する。この時上部に水の入った丸底フラスコを置いておく。
 

⑥ フラスコ底面やビーカー壁面にこびりついたヨウ素を削り落とす。ヨウ素が得られた。収率99.45%


めでたくヨウ素が得られました。ヨウ素は昇華性が高く、腐食性も強いので保管には注意が必要です。それでは次回の実験までさよなラジカル。

えざお
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