タイトル

〈実験〉医薬品化学・有機合成化学・薬理学

みなさんお待ちかねの実験パートです。
それでは早速アセチルサリチル酸を合成していきましょう。

※注意
サリチル酸、塩化鉄(Ⅲ)は皮膚粘膜刺激性を有します。酢酸無水物、濃硫酸は皮膚粘膜刺激性・腐食性を有します。いずれの試薬も薬傷、失明の危険性があり、重篤な怪我につながる恐れがあります。安易な真似は控えてください。

◆材料◆
・サリチル酸
・酢酸無水物
・濃硫酸
・塩化カルシウム
・塩化鉄(Ⅲ)水溶液
・エタノール
・純水
・氷

◆器具・装置◆
・共栓摺付き丸底フラスコ
・ビーカー
・塩化カルシウム管
・駒込ピペット
・マグネチックスターラー
・ウォーターバス
・吸引ろ過瓶
・ブフナー漏斗
・水流式アスピレーター
・氷浴
・ミクロスパーテル

① 丸底フラスコにサリチル酸4.5gを入れる。摺り合わせ部分に試薬が付着しないように気をつける。


② 駒込ピペットで酢酸無水物10mlと濃硫酸7~8滴加え、塩化カルシウム管を取り付ける。

③ ウォーターバス90度で加温しながら30分間撹拌する。


④ 結晶が十分に析出するまで氷浴で冷却する。
 

⑤ 吸引ろ過で結晶を得る。フラスコ内に残留した結晶も冷水で洗い込む。


⑥ 結晶をビーカーに移し、80%エタノールを少量加えて温めながら溶かす。


⑦ 氷浴で十分に冷却して再結晶させる。


⑧ 吸引ろ過で回収し、結晶を乾燥させる。アセチルサリチル酸が得られた。
 

⑨ サリチル酸と合成した物質をそれぞれ試験管にミクロスパーテル1杯ずつ入れ、蒸留水を適量加えてよく振り混ぜる。塩化鉄(Ⅲ)水溶液を数滴加えて色の変化を観察する。

→サリチル酸は紫色の呈色反応を示すが、合成した物質では反応しない。少なくともサリチル酸とは別の化合物へと変化している。

今回は特に難しい操作を必要とせず、初の人工合成医薬品として人類を痛みから救うことに貢献したアセチルサリチル酸を合成することができました。理論収量は5.87gで最終収量は3.41gなので収率は58.10%となりました。反省点としては操作の割に収率が低く、精製をもう少し丁寧に行えばよかったなと思いました。
本来このような有機合成実験は生成物をTLCなどで分析しますが今回は塩化鉄(Ⅲ)水溶液を用いて少なくともアセチル化されていることを確かめることができました。

たとえ綺麗に精製した自信のあるものでも今回合成したアスピリンの鎮痛効果を調べようと自分の身体で人体実験するのは絶対にやめましょう。安全だという保証はありませんし、おそらく薬機法が諸々します。

それでは次の記事まで
さよなラジカル。

えざお
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