【第2回おうちラボで実験してみた】卵白の性質を調べよう!

〈実験〉生物有機化学・分析化学

さて、実験パートです。
前回の内容を踏まえて反応を見ていきましょう。

 

◆材料◆
 【試薬】
 ・卵白(2倍希釈)
 ・水酸化ナトリウム
 ・酢酸鉛
 ・ニンヒドリン水溶液(市販の汗チェッカー)
 ・硫酸銅
 ・濃硝酸
 ・硫酸ナトリウム
 ・pH試験紙

 【器具】
 ・試験管
 ・試験管ばさみ
 ・薬さじ
 ・ラボガスバーナー
 ・マッチ
 ・ビーカー
 ・攪拌棒
 ・駒込ピペット
 ・ピンセット

① 卵白水溶液を5本の試験管に3mlずつ入れる。それぞれの試験管をABCDEとする。


② 酢酸鉛、硫酸銅、硫酸ナトリウムを水に溶かしておく(濃度はあまり気にしなくて良い)。また、濃硝酸を試験管にとってゴム栓をしておく。

 

③ 固体水酸化ナトリウムを少量、試験管Aに入れて加熱する。試験管ばさみを使って浸透させながら行う(突沸を防ぐため)
→pH試験紙を口に近づけてみる。結果を観察する。

 

④ ③で使った試験管Aに酢酸鉛水溶液1mlを加えて振盪する。結果を観察する。

 

⑤ 試験管Bにニンヒドリン水溶液を2ml加えて加熱する。結果を観察する。

 

⑥ 試験管Cに水酸化ナトリウム水溶液0.5mlと硫酸銅水溶液0.5mlを加えて振盪する。結果を観察する。

 

⑦ 試験管Dに過剰の硫酸ナトリウム水溶液を加える。結果を観察する。

 

⑧ 試験管Eに濃硝酸2mlを加えて加熱する。結果を観察する。

 

~実験結果~

③の結果:
pH試験紙を近づけたときpH8~9を示した。
水に溶けて弱塩基性を示すアンモニアの発生が確認できたことから窒素を含有していることがわかる。


 

④の結果:
酢酸鉛水溶液を滴下したとき黒色沈殿が生じた。黒色沈殿の正体は硫化鉛。
Pb²⁺+S²⁻→PbS↓
メチオニン、システインなどの硫黄を含むアミノ酸を持っていることがわかる。


 

⑤の結果:
青紫色に呈色反応を示した。ニンヒドリン反応を示したということはアミノ基を持っていることがわかる。アミノ酸と2分子ニンヒドリンが反応して共役系のルーエマン紫という化合物が生成したためである。



⑥の結果:
青紫色に呈色反応を示した。ビウレット反応を示したということは2つ以上のペプチド結合を持っていることがわかる。ペプチドが銅(II)イオンに配位し、錯イオンを作ることで呈色する。



⑦の結果:
可溶性塩水溶液を加えたことによって塩析を示したことから卵白はコロイド溶液であることがわかる。

 

⑧の結果:
濃硝酸によって黄色に呈色したことからキサントプロテイン反応を示している。このことからフェニルアラニン、チロシンなどベンゼン環を含むアミノ酸を持っていることがわかる。ベンゼン環がニトロ化されることで呈色する。


 

追加実験

卵白の液性は何でしょうか。実は以外にも塩基性を示すんです。もともと含まれているタンパク質や卵殻の主成分である炭酸カルシウムが液性に影響を与えるみたいです。


左はBTB溶液
右はフェノールフタレイン溶液を加えたところ。

 

今回は卵白を使ってタンパク質の簡易的な定性分析を行いました。危険な試薬を使うことが多々ありましたが、入手が容易な試薬もあるので是非試してみてください。卵白だけでなく、牛乳、プロテインなどで実験しても面白そうですね。

 

それではまたの実験まで、さよなラジカル。

 

えざお

 

〈参考文献〉
wikipedia
Q323 卵 質問コーナー

 

Twitter えざお

記事執筆担当

主に化学部・自然科学部・新聞部に生息するおうちケミスト兼バイオハッカー見習いの薬学生及びみくあす令和ラボの所長。特に合成化学が好きで有機合成や無機合成やおふざけネタ実験が多めで世界観が結構ブラック。生成物をコレクションするのが趣味。高校では環境分析化学を専攻してました。ほとんどが駄文の書き殴り記事ですがワクワクするような「唆る物質」を作ることに日々励んでます。近影アバターは賢者の石を合成しようと錬金術を試みたところ失敗して飼い犬の柴犬とキメラになってしまったという設定。

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